タイポグラフィとは、
簡単に言えば字を扱うデザイン全般のことです。それは一文字から何千、何万字にいたるテキストのレイアウトやタイプフェイス(字体)のデザインなどがあります。現在ではタイポグラフィに携わっているデザイナーのほとんどがマックで、テキストのレイアウトなら主にQuarkXpress、タイプフェイスのデザイン、つまりコンピュータ上のフォントの制作ならFontographerかFont
Studioが使用されていると思われます。
歴史的には、
20世紀初頭にイタリアで起こったマリネッティをはじめとするFUTURISM、ドイツでのBAUHAUS、オランダでDADAやDe Stijl、そして20世紀中盤ではスイスタイポグラフィが顕著になっていきました。これらの実験的なタイポグラフィは今日ではスタンダードとなりましたが、マックに頼ったデザインは見えないカオスを引き起こし、誰でも簡単にデザインできる状態を生み出してしまったのです。ただ、一見素晴らしいデザインであっても、タイポグラフィにおけるミスがあった作品はデザインとしての魅力は半減してしまいます。
タイプフェイスのデザインは、
奥が深すぎて自分もよくは把握していません。プロのタイポグラファーは字体そのもののデザインには10%、残りの90%で、スペーシングとカーニングの調整に時間を費やすそうです。自分もフォントは作りますが、それと比べるとやはりグラフィックデザインの延長線上でしかないかな、と思います。
タイポグラフィはグラフィックデザインの一部に見られがちですが、実際はそれだけで完結してしまうような世界なのです。
アートやデザインには、
ルールは不要と思われるかたもいるとはおもいますが、タイポグラフィにはその美しさを維持するためのルールが数多くあります。実験的なタイポグラフィの作品はたくさんありますが、まずは自分がなにをしているのかを知らないと、かなり危険だと思います。
日本の雑誌においては(有名、無名を問わず)、英文のタイポグラフィーはとにかくひどい。母国語ではないとはいえ、英語は国際語であり、日本でもそこらじゅうに英語が使われているので、日本のデザイナーみなさんにタイポグラフィーとは何か、そして、そのルールが成すものを学んで欲しいです。
しかし、タイポグラフィーにおけるルールは絶対ではありません。そもそもルールなんて存在しないのです。ここで紹介しているのは今のところ、一番タイポグラフィーを美しく見せるための手段であり、方法です。これを守らなくても、ヴィジュアルコミュニケーションがしっかりとれて、タイポグラフィーの本質的な目的、情報の伝達が明確に示されている限り、このルールに限ったことではありません。